国際結婚を考えると、「何語で話せばいい?」「英語ができなくても結婚できる?」「相手の日本語が日常会話レベルなら十分?」「喧嘩やお金の話まで外国語でできる?」と不安になることがあります。
結論からいうと、国際結婚に必要なのは、どちらかが完璧に相手の母語を話せることではありません。
ただし、結婚生活では、
- 好き・楽しいと伝える
- 予定を決める
- 喧嘩する
- 家計を話す
- 仕事や転職を相談する
- 病気や医療について伝える
- 親や家族の問題を話す
- 子どもについて決める
など、恋愛初期より複雑な会話が必要になります。
そのため、「日常会話ができるか」だけではなく、二人が重要なことを誤解したまま進めず、確認し直せる共通言語があるかを見ることが大切です。
この記事では、国際結婚で使う言葉、英語力、日本語力、共通言語の決め方、第二言語で感情を伝える難しさ、翻訳アプリ、喧嘩、家族との会話、結婚前に確認したいことまで解説します。
結論|国際結婚で重要なのは「流暢さ」より、重要な話を確認できること
国際カップルの中には、
- 日本語だけで話す
- 英語だけで話す
- 相手の母語を使う
- 二人とも母語ではない第三言語を使う
- 話題によって言語を切り替える
夫婦がいます。
「夫婦ならこの言語を使うべき」という決まりはありません。
大切なのは、
- 二人とも意味を十分理解できる
- 感情をある程度表現できる
- 分からないときに聞き返せる
- 重要事項では認識が一致したか確認できる
ことです。
国際結婚では夫婦は何語で話す?
夫婦の会話には、大きく4パターンあります。
| パターン | 例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一方の母語 | 日本語だけ | 片方の負担が大きくなりやすい |
| もう一方の母語 | 英語・韓国語・中国語など | 日本人側が第二言語を使う |
| 第三言語 | 双方の母語ではない英語など | 条件を比較的そろえやすい場合 |
| 複数言語 | 日本語+英語など | 話題・場面で切り替えやすい |
最初に決めた言語を一生変えない必要もありません。
住む国、仕事、子ども、家族との関係によって、夫婦の使用言語は変化することがあります。
英語ができなくても国際結婚できる?
できます。
相手が日本語を十分使えるなら、英語が必須ではありません。
また、相手の母語が英語とは限りません。
「外国人と結婚=英語が必要」という考え方ではなく、二人の間で使える共通言語が何かを確認します。
日常会話ができれば結婚には十分?
旅行やデートで困らない程度の会話と、結婚生活に必要な会話は少し違います。
例えば、
今日は何を食べる?
と話せても、
転職して半年収入が減る場合、貯金をどのくらい使っていいと思う?
を正確に話せるとは限りません。
結婚前には、次のような話題をどこまで話せるか確認します。
- お金
- 仕事
- 住む国
- 親の介護
- 仕送り
- 宗教
- 子ども
- 医療
- 怒り・不満・不安
研究でも「何語か」より、理解の質が重要とされている
日本人と外国人の国際結婚夫婦を対象にした研究では、夫婦間コミュニケーションについて、使用言語そのものより、普段使う言語でどの程度表現できるかが関係していました。
また、婚姻満足度との関連では、会話量や、感情・意味を理解し合えることが重要な要素として報告されています。
つまり、「日本語で話しているから問題ない」「英語が流暢だから問題ない」ということではありません。
二人が同じ意味を受け取れているかが重要です。
第二言語では「気持ち」が言いにくくなることがある
外国語で恋愛をした人を対象にした研究では、交際初期に第二言語で感情を伝えることへ難しさを感じた人が少なくありませんでした。
原因として、
- 感情を表す語彙が足りない
- 言葉の微妙な強さが分からない
- 母語ほど感情が乗らない
- 自分らしい言い方ができない
などが挙げられています。
一方、その研究では、多くの参加者で時間の経過とともに問題が小さくなったことも報告されています。
第二言語だから夫婦関係を作れないということではありません。
「I love you」は言えても、不満を説明できない場合がある
恋愛初期には、好意や楽しい会話が中心です。
結婚が近づくと、
- なぜ嫌だったのか
- 何を不公平だと思ったのか
- どうして不安なのか
- 次から何を変えてほしいのか
など、感情を細かく説明する必要が出ます。
このとき、語彙が足りないことで、本来より強い言い方になってしまうこともあります。
言葉が強く聞こえたときは、表現そのものだけでなく「何を意味しているのか」を確認します。
国際カップルでは「言葉」と「文化」を分けて考える
同じ単語を理解していても、伝え方の期待が違うことがあります。
例えば、
- はっきり断る
- 遠回しに断る
- 沈黙する
- すぐ謝る
- 理由を長く説明する
などです。
これは語彙力だけでなく、コミュニケーションの習慣にも関係します。
ただし、国籍だけで「○○人は直接的」「日本人は察する文化」と決めつけず、本人がどのように伝える人かを確認します。
文化差そのものは別記事で詳しく扱います。
二人の言語能力に大きな差がある場合
例えば、日本人側が英語をほとんど話せず、相手が流暢な日本語を話す場合、家庭では自然に日本語中心になることがあります。
それ自体は問題ではありません。
ただし、第二言語を使う側には、
- 説明に時間がかかる
- 冗談が伝わりにくい
- 怒っているときに言葉が出ない
- 親しい友人と話すときほど自由に話せない
- 専門的な話題で不利になる
ことがあります。
「日本語が上手だから、全部理解しているはず」と考えない方がよいでしょう。
言語能力の差を「頭の良さ」と結びつけない
第二言語で言葉が出てこないことと、考えている内容の深さは別です。
語彙が少ないため短い返事になっても、その人が何も考えていないとは限りません。
相手が自分の母語ではなく第二言語で話している場合は、回答まで少し待つ、言い換える、文字でも確認するなどの方法があります。
二人とも相手の母語を勉強した方がいい?
必須ではありませんが、学ぶメリットはあります。
- 相手の家族と話しやすくなる
- 相手が感じている言語負担を理解しやすい
- 母語でしか分かりにくい冗談・感情を理解しやすくなる
- 将来相手国へ住む場合に役立つ
一方、仕事や生活の都合で、二人とも高いレベルまで学ぶことが現実的ではない場合もあります。
「愛しているなら私の言語を流暢に話すべき」と条件にするのではなく、結婚生活で必要な水準を相談します。
共通言語が二人の母語でなくてもいい
例えば日本人とフランス人が英語を共通言語として生活することもあります。
第三言語には、どちらか一人だけが完全に言語優位になりにくいという面もあります。
一方、二人とも複雑な話題を十分扱えない場合は、重要な話で誤解が増える可能性があります。
「英語で話せる」だけでなく、結婚生活に必要な内容をどこまで扱えるかを見ます。
翻訳アプリを使ってもいい?
もちろん使えます。
翻訳アプリは、
- 知らない単語を確認する
- 文章の大意を取る
- 相手の家族と簡単な会話をする
- 旅行・生活の補助にする
には便利です。
ただし、重要な意思決定を翻訳結果だけで進めない方がよいでしょう。
翻訳アプリだけに任せない方がいい場面
- 結婚意思
- 婚前契約
- 借金・資産
- 不妊治療・医療
- 子どもの親権
- 宗教
- 移住
- 法的手続き
では、言葉の意味を相互に確認します。
法律・医療など専門性が高い場面では、必要に応じて専門家や通訳を利用します。
喧嘩するときほど簡単な言葉にする
感情が強いと、母語でも誤解が増えます。
第二言語ならさらに難しくなることがあります。
喧嘩中は、
- 一度に一つの問題だけ話す
- 長い比喩や皮肉を避ける
- 「あなたはいつも」ではなく事実を言う
- 理解した内容を相手に確認する
- 必要なら一度時間を置く
という形にすると整理しやすくなります。
皮肉・冗談・遠回し表現は誤解されやすい
母語では自然でも、第二言語では、
- 冗談
- 皮肉
- 婉曲表現
- 言葉遊び
- 曖昧な断り方
が伝わらない場合があります。
特に大切な話では、「分かるでしょ」と察してもらうより、具体的に言葉にします。
「分かった?」だけでは確認にならない
相手が第二言語で話している場合、「分かった?」と聞かれると、会話を止めたくなくて「分かった」と答えることもあります。
重要な話では、
私はこういう意味で話したけど、あなたはどう受け取った?
のように、相手の理解を聞く方が確認しやすくなります。
結婚前に一度は話したい「難しい話」
言葉の壁があるかどうかを確認するには、楽しいデート会話より、次のテーマを一度話してみる方が分かります。
- 結婚後に住む国
- 仕事・転職
- 家計・貯蓄
- 借金
- 親への仕送り・支援
- 子どもを希望するか
- 宗教
- 家族との距離
- 病気・医療
- 喧嘩したときの対応
全部同じ日に話す必要はありません。
しかし、結婚を決める前に「難しい話をできる二人か」は確認しておきたいところです。
相手の家族と話せない場合はどうする?
夫婦間に共通言語があっても、相手の親がその言語を話さない場合があります。
その場合は、
- 配偶者に一部通訳してもらう
- 簡単な挨拶だけ相手の言語を覚える
- 翻訳アプリを使う
- 重要な話では通訳を検討する
などができます。
ただし、夫または妻が常に家族間の通訳役になると負担になることもあります。
結婚後に家族との交流が多いなら、どこまで相手の言語を学ぶか話しておきます。
夫婦の片方だけが通訳役になり続けない
病院、行政、学校、家族、友人との集まりなどで、毎回同じ人だけが通訳すると負担が偏ることがあります。
必要に応じて、
- 本人が生活に必要な言語を学ぶ
- 専門通訳を使う
- 多言語案内を利用する
- 事前に必要事項を翻訳しておく
など、配偶者一人へ依存しすぎない方法を考えます。
住む国が変わると「言語の強い側」も変わる
日本で暮らしている間は日本人側が行政・仕事・生活情報を読みやすくても、相手国へ移住すれば立場が逆になる場合があります。
今、相手が日本語で苦労しているなら、その負担は将来自分が相手国で経験する可能性があります。
言語能力の違いを上下関係にしないことが重要です。
子どもが生まれたら家庭で何語を使う?
国際結婚家庭では、子どもが生まれると家庭内言語を考えることがあります。
例えば、
- 家庭では日本語
- 親ごとに違う言語
- 家庭内は少数言語、外では日本語
- 複数言語を自然に使う
などさまざまです。
どの方法が全家庭に正しいとは言えません。
居住国、親の言語能力、保育・学校環境、子どもの状況、親族との交流によって変わります。
子ども・教育については後続記事で詳しく扱います。
国際結婚の言葉の壁を小さくする7つの方法
- 二人の共通言語を明確にする
- 分からない単語をそのままにしない
- 重要な話は言い換えて確認する
- 感情的な話を短文チャットだけで終わらせない
- 互いの母語を少しずつ学ぶ
- 必要に応じて翻訳・通訳を使う
- 言語能力の差を人格・知性の差にしない
結婚前の言語チェックリスト
- □ 二人が普段使う共通言語がある
- □ お金について具体的に話せる
- □ 仕事・移住について話せる
- □ 不満や怒りを伝えられる
- □ 分からないとき「分からない」と言える
- □ 相手が理解した内容を確認できる
- □ 翻訳アプリだけに依存していない
- □ 相手の家族との会話方法を考えている
- □ 片方だけに通訳負担が偏りすぎていない
- □ 将来どの言語を学ぶか話したことがある
国際結婚と言葉に関するFAQ
国際結婚では夫婦は何語で話すのですか?
夫婦によって異なります。一方の母語、英語などの第三言語、複数言語を使い分ける夫婦もいます。重要なのは、二人が重要事項まで十分理解できる共通言語があることです。
英語が話せなくても外国人と結婚できますか?
できます。相手が日本語を使える場合もありますし、相手の母語が英語とは限りません。英語ではなく、二人で使える共通言語があるかを確認します。
日常会話レベルで結婚しても大丈夫ですか?
日常会話だけで判断せず、お金、仕事、住む国、家族、子ども、病気など複雑な話ができるかを確認してください。分からないときに聞き返せる関係であることも重要です。
相手の日本語が上手なら言葉の問題はありませんか?
必ずしもそうではありません。日常会話が流暢でも、感情、専門用語、法律、医療などでは母語ほど自由に表現できない場合があります。
翻訳アプリだけで結婚生活はできますか?
補助として便利ですが、重要な意思決定まで翻訳アプリだけに頼るのは避けた方がよいでしょう。医療・法律などでは必要に応じて専門家や通訳も利用します。
夫婦でお互いの母語を勉強した方がいいですか?
必須ではありませんが、相手の家族との交流、相手国への移住、感情表現の理解には役立ちます。どの程度必要かは二人の居住国と生活環境によります。
喧嘩になると言葉が出なくなります。問題ですか?
第二言語では感情が強い場面で言葉が出にくくなることがあります。一度時間を置き、簡単な表現で一つずつ話す、通話や文章を使い分けるなどの方法があります。
相手の家族と会話できなくても結婚できますか?
できますが、家族との交流頻度によって負担は変わります。配偶者の通訳、簡単な語学学習、翻訳アプリ、必要時の通訳などを組み合わせます。
子どもには何語で話せばいいですか?
家庭によって異なります。居住国、親の母語、学校環境、親族との交流、子どもの状況によって考えます。子どもの言語・教育は別記事で詳しく扱います。
まとめ|国際結婚の言葉の壁は「完璧に話せるか」ではなく「確認し合えるか」で考える
国際結婚では、夫婦が同じ母語を持たないことがあります。
それ自体が結婚できない理由ではありません。
重要なのは、
- 二人に共通言語がある
- 難しい話も少しずつできる
- 分からないことを隠さない
- 感情の意味を確認できる
- 翻訳や通訳を必要に応じて使える
- 言語能力の差を上下関係にしない
ことです。
恋愛中は簡単な会話だけでも楽しく過ごせます。
結婚生活では、お金、仕事、家族、医療、子どもなど、避けられない難しい話が増えます。
結婚前に確認したいのは「どれくらい英語が上手か」ではなく、「分からないときに立ち止まり、二人で同じ意味までたどり着けるか」です。
参考情報
- 施利平「国際結婚夫婦におけるコミュニケーションと婚姻満足度」
- 国立国会図書館「国際結婚夫婦のコミュニケーションにおける言語能力の役割」
- Dewaele JM, Salomidou L. Loving a partner in a Foreign Language. Journal of Pragmatics. 2017.
- Tien NC, Softas-Nall L, Barritt J. Intercultural/Multilingual Couples: Implications for Counseling. 2017.
- Hill CT, et al. Overcoming barriers to intercultural communication in romantic love relationships. International Journal of Intercultural Relations. 2025.

